真紅の薔薇

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真紅の薔薇を三本頂いた。
一番好きな薔薇の色だからすごく嬉しくて、薔薇の花が枯れるまで幸せでいられそうだ。
かなり前になるけれど、二本の真紅の薔薇をくれた人がいた。とても嬉しくて毎日みとれていた。幾日か経って枯れかけても捨てることが出来ずに、花を冷凍してみた。すると凍った真紅の薔薇を見ることができた。ずっとこのまま綺麗な薔薇でいるのかと思っていたけれど1年後には色が変わってしまった。押花にした方が良かったのかな。
二本の薔薇をくれた人はもう忘れただろうか。私は止まったままかもしれない。

オーストリア

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今年も留学生が来た。
こちらの高校で6ヶ月学ぶ。私は6ヶ月もの長い間弁当作りはできないので、ひと月だけ預かることにしたのだが、手のかからない16才で、あとひと月はおいてあげてもいい。
今までに5人の留学生を預かったが、ピアスの穴を開けていないのはエミリーだけだ。物静かで、スマホを気にしたりもしない。日本語の辞書を片手に勉強している。日本語はかなりできるのにフランス語も習っていて、フランス語の方が得意だそうだ。フランス留学もしている。たったの16才なのにホームシックにもならずに、にこにこしている。アンジーとも仲良しだ。犬に接する姿を見ていると性格の良さがわかる。
先日手を滑らせて皿を割ってしまったが、もちろん叱らなかった。なのに同じような皿を買ってきたのには驚いた。「さらをわってすみません。おなじようなさらをかってきました。これはたべてください、」とひらがなで書かれた紙のうえにコンペイトウの包みがあった。
日本の寺に興味あるそうだから、あちこち一緒に行こう。

違い

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友人のAちゃんは、何でも一番が好きなのだそう。
「だから、学生時代は授業中、答がわからなくても、ハイハイ!と手を上げた」と笑いながら言う。
「私と反対だね。私は解っていても手を上げなかったよ。でも、それを察して先生に、解いてみろと言われたかった」
「ばかじゃねえ。解るならハイハイハイ!って勢いよく先生にアピールするだろうに」
Aちゃんは知り合ってまだ1年足らずだが、祭りやゴルフや食事に誘ってくれる。機嫌がいいときはれいちゃんと呼び、ばかにするときは、おめえといい、気取ったときはあんた、と呼ぶ。二人とも男っぽい性格だね、とよく言われるが、彼女は言葉使いが荒いだけで、女らしい。雷を怖がるし、寂しがりやだし、ひとりではレストランにも喫茶店にも行けない。旅行でビジネスホテルに泊まることもできない。一人部屋はお化けが出そうで怖いのだという。「一人暮らしでしょ。お化けでる?」「家と旅は違う」と真剣に言う。
私は雷はちょっと怖いだけだし、寂しがりやじゃない。旅は気がねしなくていいから一人部屋がいい。ゴルフを一緒にしてて雷が鳴ると、Aちゃんは「ぎゃああ!」と大げさに騒ぐ。「いいじゃないの、雷が落ちてきたって一人で死ぬわけじゃなし」「やだよ! 死ぬなら男と死にたい。女となんかやだ!」「私は男みたいなもんじゃない」「よく雷の元で冗談が言えるね! ぎゃああ!また光った! ゴルフ中止にしよう!」と騒ぐが、私は、「続行だよ、雷ごときで中断はしない」とここは譲らない。
Aちゃんはよく私を「ばかじゃねえ」と言う。「今まで生きてきて、あんたみたいな人に初めて会った。おもしれえと言うか、新鮮というか、バカっぽいというか、天然というか」と呆れるが、「あっ、そう」とだけ返す。Aちゃんは、「れいちゃんは私よりずっと男っぽい。何でも一人で行動できるし、頼もしいったらありゃしない」というので、「じゃあ私が男の人を好きになったら、ホモか」と聞くと、「おめえ、ほんとにばかだな」と笑う。
黒ニンニクを作ったのでAちゃんにあげ、「ジジババになっても元気でいましょう」と言うと「ジジ?」と一瞬驚いてから「おめえがジジか、」と納得した。



馬里邑れいの本

馬里邑れいのオフィシャルブログ。馬里邑れいのプロフィールと日記、馬里邑れいによるオリジナル小説の投稿など。

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