ピアニスト

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「打ち合わせの前に私の手料理食べに来て」とFちゃんからラインがきた。
電話やラインは月2ぐらいでくるけれど、もう10年ぐらい会っていないFちゃんだ。Fちゃんは私より10才以上年下で、彼女とは渋谷の気功教室で知り合った。彼女は大学を卒業すると結婚式場やクラブでピアノを弾いていた。知り合って3年後に彼女はアフリカのレストランに勤めると旅立った。アフリカに3年いた後、タイに渡り、そこで2年暮らすと日本に戻ってきた。

戻って間もなく、彼女は心を痛めて入院してしまった。躁鬱病なのだという。病院からも手紙をくれた。しばらく入退院を繰り返していたけれど、ここ3年は通院で大丈夫になったそう。犬を飼ってから劇的によくなったと言う。
電車を乗り継いで二時間、彼女の住むアパートに着いた。変わっていない。話をしていてもよく笑うし美人のままだ。
テーブルに並んだ料理がすごい。具だくさんの春雨サラダ。ポテトサラダ。唐揚げ。ピーマンと春菊に鰹節をかけたお浸し。卵焼き。ジャコ、梅、しそ、ミョウガ入りの混ぜご飯。食後のデザートは柿、キュウイ、ミカン。もう大満足。
「れいさん、私ね」と彼女は犬をなでながら、急にしんみりとなり、「私ね、3年前に半年間あぶりやってたの」そう言った。「そうなんだ」とフツーに答えたら、「さすがれいさんだね。少しも驚かない」と笑顔になった。そりゃ今でもあぶりしてるなら、止めるけど3年前のことなら時効かな。
「私ね、犬飼ってから変わったよ。このこのために健康にならなきゃ、って思うようになったの」って。
よかった。
帰るとき、彼女はピアノを弾いてくれた。軽やかな曲にうっとりした。


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馬里邑れいの本

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