珍事

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土曜日の夜8時頃だった。
浅草の駅に向かって仲見世を歩いていると、
「一緒に飲みませんか、そこの店で」
と声をかけられた。
「はっ?」と驚くと、
「同じ香りがしたので、声をかけました」と言う。
「同じ、、、どんな香りですか、、、」
「孤独の香り」
「わたし、別に孤独じゃないんですけど」(少し笑ってしまった)
「ちょっと残念ですけど、でも、一緒に飲みませんか。そこの店、よく行く居酒屋なんです」
「今日は急ぐので、次に偶然会ったら」
「次はないでしょう、どうせ」(確かに。次も飲むつもりはない)
「じや、電話番号だけでも教えて」と言うので、
「電話番号教えてと言う人が行列を作っているので、無理です」と言うと、サラリーマンだと言う白いシャツの男は笑いもせずに、
「ホントに孤独じゃないんだね」と頷いたので諦めるかと思ったら、また電話番号をと言った。行列がウソだとどこでわかったのだろう。
「母に夕食を作らなければいけないから、電車に乗らなきゃ」そう言って急ぎ足にしたら「そうですか、、、じゃ」と男は馴染みだという居酒屋に向かって行った。その背中は別に孤独そうでもなかった。


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馬里邑れいの本

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