時に思う

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「センセ、ご無沙汰」
と元塾生のお母さんから電話が来た。瞬間緊張する。電話の後でどっと疲れるからだ。何故疲れるのかというと、
「センセ、思い出したの。センセって、塾生の親と出来るだけ接しないように、言葉は、はあ、そうですか、にして目も合わせなかったでしょ。」(見破られていたのか)
「純情で可愛かったわ。センセ、アハハ」(そういうことじゃなくて、、、)
「子供たちも気がついていたわよ。マリムラ先生は大人が苦手みたい、って」(そういう会話が苦手なだけで、、、)
「先生は作ってきたケーキが余ると、塾生に交じってじゃんけんするんだよ、って子供が呆れてました」(やっぱり説教か。じゃんけんは楽しいのだもの。私、強いし、勝負したいんだもの)
「ケーキをじゃんけんする子供ぽいセンセが、今ではあちこちで講演するなんて」(痛いところを突いてきた)
「そうですね、そんな身じゃないのに恥ずかしいです。それに、講演はたまに依頼されるだけです・・・」と言ったら、
「アハハ、凄いってほめてんのにぃー正直なんだからぁ」(早く電話終わってほしい、、、)
「ね、センセ、いつ単行本でるの?楽しみにしてるんだけど」
「はあ、もう少ししたら、、、」
「あら、そうなの。センセ、私のこと忘れないでね。たまにはランチ誘って」(忘れたい、、、)
「はい、、、」
もっと何か話してたけど忘れた。緊張だけが残った。
私は多くの女の人が苦手だ。なんだか怖いのだ。私はできそこないだから、グイグイ突いてこられると辟易し、気力がなくなる。で、電話の後で写真のシッポの切れたトカゲに話しかけて緊張感をとく。このトカゲ、うちの小さすぎる庭に居ついたみたいだ。シッポが切れて先がまん丸になっている。呼ぶとバサッとコンクリートの塀から笹の葉にジャンプして姿を現したりする。こんな人懐っこいトカゲ初めてだ。話しかけると、話をじっと聞いている。時おり目を閉じたままのんびりと聞いていて、その笑ったような表情が滑稽で面白い。でも写そうとカメラを向けると(写真のように)壁にへばりついて嫌がる。カメラを隠すと、また笹に戻ってくる。30分ほどそうしていると、私はすっかり元気になる。今年はカエルが来ない代わりみたいに、このシッポ切れトカゲが癒してくれる。

 


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馬里邑れいの本

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