不良少年の恋

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ノンフィクション(実話)ばかり立て続けに書いていると、無性に小説が書きたくなる。で、身近にある実話をもとに温めていた小説を書き始めた。
「不良少年の恋」の書き出しを少し…

       一           
【 明日、親父が帰って来るのか… 隆一は仰向けになったまま天井に呟いた。煤だらけの汚ねえ天井だな、いや天井だけじゃなく全てが汚ねえ家だなと、苦笑した。六畳と四畳半の畳部屋に台所と風呂がついているだけの平屋だ。親父の亡くなった両親が住んでいた家だ。

 隆一は十六歳になっていたが、高校には半年も行かなかった。別に高校などに未練はなかったからすんなりやめられた。高校の方も安堵しているはずだ。喧嘩三昧の日々に学校などちゃんちゃらおかしい。

 親父は傷害罪で年中ムショの世話になっている。元プロボクサーの端くれだった親父は今は闇金の取り立て屋だ。用心棒というやつで、取り立てに行った際に金を用意できていないと相手を威嚇しているうちに手がでてしまうのだ。訴えられれば裁判になり、ムショ暮らしが待っていた。今回も一年の刑期を終えて明日出てくる。 

 迎えには行かない。

 携帯電話から沢田研二の”時の過行くままに”が流れた。夏美からの着信音だ。親父が大の沢田研二ファンでいつのまにか隆一も覚えた。ちなみに親父の着信音は”勝手にしやがれ”だ。いかつい顔の親父と沢田研二が結びつかなくて笑える。

「なんだ」

 隆一は無造作に夏美に言った。「逢いたい…」と夏美のくぐもるような声が隆一の耳に入った。

「今日はいい」

 隆一は一言で電源を切った。知り合ってまだ二週間だ。出会った夜に抱いて、次の日も、その次の日も。こいつには感情入っちゃうかな…と期待したが、もう逢いたい気持ちは褪せていた。

 女は一週間もすれば飽きる。何十人倒しただろう。もう名前も覚えちゃいない。ちょいの間本能が満たされるだけで、心を惑わせる女などいなかった。

 両親は隆一が小学三年の時に離婚した。妹と一緒に母親について行ったが、隆一が中学一年の時に母親は再婚した。その男と隆一は相性が悪かった。というより、隆一はムショを出たり入ったりしている親父でも親父が一番好きだった。理由はない。だから中二の時に母親の元を去った。】

 

こんな風に書き出していって、後でどんどん直して小説にします。


喫茶店

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美人ママが一人で経営している喫茶店がある。店内は広いのだが、長ーいカウンターに集中して客がいる。
みんな美人ママと話したいからだろう。
で、異色所のカウンター青年が私には面白い。28才の会社員の青年は休日の3時頃にやって来てワインを飲んでいる。ママとは親子ほど離れていてしかもショタ好きなのだから話がまるっきり噛み合わない。それを見ているのが面白い。
ガンガン皮肉や嫌味を言われても28才はにこにこしている。「この子はさ、母親べったりで母が仕事から帰ってくる前に必ず家に戻るんだよ。しかもメールでギリギリセーフでした、なんて報告してくるんだから信じらんない」とママが呆れても28才は平気だ。母親が大好きだから「おかえりなさい」と玄関で迎えるのが幸せなのだと言う。「小学生か、お前は!」とママはモロに嫌な表情をするが、「でも、そんな君が大好きよ」なんてショタ君が喜ぶセリフを最後に言う。すると育ちの良さそうなまま成長しなかったショタくんは満面の笑みを浮かべる。ママはさすがに客扱いがうまい。
ショタくんを見ていると、まるで名探偵コナンがカウンターでワインを飲んでいるみたいだ。


自分考

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シナリオを書くために先生について勉強をしていた二十代。研修科まで進んだのは二十名ぐらいで、思い込み派と才能あり派が五分五分の人数だった。
才能あり派はやがてテレビのシナリオを書けるようになったが、私は恩師の「あなたはシナリオより小説家向きだ。小説を書きなさい」の一言でそちらに向いてしまったが、失敗だったかもしれない。シナリオの方が原稿料がはるかにいいのだもの。マンガのシナリオを何本か書いたが、余りの原稿料のよさにびっくりした。小説家は生活するのに苦労する。でも、あの頃の才能あり派はほぼ消えた。テレビの世界も大変みたいだ。だけど何故かみんな財閥の子女、子息で、収入がなくても贅沢して暮らせるだけの財産があるのだ。いいなあー。と思うが彼女、彼らは幸せじゃないと言って暗く難しい表情をしている。会うと、必ず「れいさんが羨ましい。明るくて」と本気で言う。使いきれないほどのお金があるのは物書きにとって悲しいことなのだろうか、と不思議に思う。あなたは一緒に学んだ生徒と極端に違う、と仲間によく言われた。恩師にも「あなたほどわからない人に会ったのは初めてだ。単純で素直で明るい人は物書きに向かないのに、誰よりも作品を書いてきた。それに、あなたは優しい。それとも人に読ませない暗く深い影もあるのだろうか。そうだとしたら貴方は天才かも知れない。どういう感性なのか誰にも読めないのだから」と真面目に言われた。
なんだかとても嬉しかった。で、自己分析してみた。
明るく単純、もあっている。暗く、深くもあっているのだろう。物を書くスイッチが入ると、多分そうなるのだろうと思う。普段は隠しているのではなく、スイッチが入らない限り、単純で明るい。でも、優しい人だ、などとほめられるとこそばゆい。過大評価されても落ちるだけだから。そこそこ優しいだけだ。



馬里邑れいの本

馬里邑れいのオフィシャルブログ。馬里邑れいのプロフィールと日記、馬里邑れいによるオリジナル小説の投稿など。

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